『ともに』

本を開くように 扉を開ける
冷えた夜風が頬を撫で 夜の天蓋が私を見下ろす
言葉をちりばめるように 足を送って
世界を創る旅に出る 

文字が踊る 宙を舞う桜のように
言葉が輝く 澄んだ星空のように
文字が躍る 川面を跳ねる魚のように
言葉が気取る 新しい靴のように

物語と歩く 友人のように
物語を添える 鼻歌のように
物語に沈む 午睡のように

朝焼けに追われる星を見て 私は踵を返す
そうして 本を閉じるように 扉を閉める
さあ 世界を綴る 旅に出よう